健康運動指導士 渡邉雄太

健康運動指導士 渡邉雄太

渡邉雄太

WATANABE YUTA 健康運動指導士
Interview

「まだまだここは地域の方に知られていない」とおっしゃるのは、健康運動指導士であり、「高森町健康センターあさぎり」の現センター長(2024年3月末)の渡邉さん。

トレーニング施設とプールを併設している「高森町健康センターあさぎり」では、子供からお年寄りまで受講できる体験講座やスタッフの指導の下、その人に合ったトレーニングを受けることができます。そんな便利な施設ですが、まだまだ地域の方への認知度が低いとおっしゃる渡邉さん。私たちは施設を拝見させていただきながら「こんな施設が近所にあったらな」と思っておりました。現在はトレーナーさんらしい体格の渡邉さんですが、かつては器械体操に励んでいたとのお話も。そんな昔話から高森町の暮らしまでじっくりとうかがってまいりました。

TAKAMORIJIN File No.033

渡邉雄太

WATANABE YUTA

健康運動指導士

筋トレ、トレーニング指導

トマト

高校卒業まで器械体操に励み、専門学校を経て現在の会社に入社。健康センターあさぎりでは、センター長として、またトレーナーとして利用者から親しまれる存在。ご自身も筋トレ好きでベンチプレスはMax150㎏(!)。高森町の頼れる「体操のお兄さん」。

こまつ家の肉そば、あさぎりのトレーニング器具

健康運動指導士 渡邉雄太

今日は根掘り葉掘り聞かせていただこうと思います。よろしくお願いいたします。こちらは見たところ、トレーニング施設とプールが併設されていますが、来られる方は年齢問わず、という感じでしょうか。

はい、そうですね。それこそ園児さん向けの教室もやっているので、園児さんから高齢の方まで幅広くいらっしゃいますね。ここは基本的に介護予防施設なので、主軸は高齢の方なのですが、トレーニング機器も新しく高森町さんに買い替えていただいて入れ替えましたので、施設としても若返ったというか、若い方の利用も増えてきましたね。

(お名刺交換をして)

名刺の裏面にもありますが、私は“株式会社フクシ・エンタープライズ”という会社に所属していて、私たちは町からこの施設の運営管理を委託されている形となりますね。

(開講されている教室一覧を見つつ)けっこうな数の教室を開講されていますね。曜日別で幼児から大人まで幅広くやられていますね。

そうですね、幼児向けから大人向けまであって、さらにはプールの教室やフロアと呼ばれるトレーニングルームの一角を使って開講する教室があります。

教室はけっこう人気がありますか?

そうですね、長年継続で参加をしてくださっている方が多くいらっしゃいますね。特に人気があるのは園児さん対象の水泳教室です。学年が上がって小学生になっても4年生までずっと継続されている子もいますし、新しく園児になって教室に通う子もいますから、入れ替わりが多い教室でもあります。

そのほかで特に人気の教室はありますか?

定員が少ないからということもありますが、フロアの教室がここ最近では人気になってきていますね。定員が10名なのですが、どの教室もほとんど埋まるくらいの人気があります。プールの教室は水着になることに抵抗を感じる方が多いのに対して、運動着にシューズという、普段着に近い格好なので参加しやすいのではないかと感じています。もちろんプール教室を長く参加されている方もいらっしゃいますが、定員が20名ということもあるので、今のところ若干余裕がある状況です。

なるほど。僕はこちらに訪問させていただくのは初めてなんですけど、プールはどれぐらいの大きさでしょうか。

こちらのプールはふつうのプールよりも小さめなので、「プール」ではなく「運動浴槽」という括りでして、広さとしては長さ15m、幅8mとなっています。

普通のプールを縮小したような感じですね。

その代わり、可動床になっています。

おぉ!それは珍しい。

なので、イベント等で園児さんが利用する場合は、0.7mまで床を上げますし、一般の方が利用する際には1.1mにしています。

利用者に合わせて調整できるわけですね。

そうですね、普段は教室ごとに床の高さを変えています。園児さんだと0.7、小学1.2年生は0.9、小学3.4年生だと一般と同じ1.1mで開催しています。

通常のプールは床の高さに傾斜を付けていますよね。

そうです。それがフラットな状態になっていて、可動式になっているのがうちの施設の特徴ですね。

珍しいですよね。新しいものなんでしょうか。

一部を可動床にしている施設はときどき見かけますが、設備が壊れた際に専門危機であるため、修繕費が膨大になってしまうことから維持を断念する施設も増えていると聞きます。

なるほど、メンテナンスや維持が大変なので、減っていると。

そうです。土台から作った通常のプールのほうが、機械のメンテナンスなどが無い分、直さなくて済むというのはありますね。こちらは、メンテナンスや修繕が必要となった際に適宜町が取り組んでくださるおかげで長く良い状態を維持できているのだと思います。

この施設の中で渡邉さんの「推し」はどこでしょうか。

私自身も筋トレはしますし、必要なトレーニングマシンの選定には私も携わらせてもらったので、機器の入れ替えが完了したトレーニングルームが「推し」と言えますかねぇ。また今年の4月か5月には新しく器具が増える予定もあるので、さらに充実したトレーニング環境を提供できると思っています。

そうですか!後で渡邉さんがトレーニングマシンを使っている様子なんかも写真に撮らせてください。

わかりました(笑)

今後、こういう方にもっと利用してほしいな、というのはありますか。

この施設は健康増進の施設です。筋トレって言うと運動習慣のない方などには敬遠されがちというか、どんな方にも、あったメニューでトレーニングできますというのはアピールしたいですね。

普段使いで気軽に、ということですかね。

そうですね。自分の身体をメンテナンスするというか、長く良い状態を維持するためには、必要不可欠なものだと思います。何もしなければ体は衰えていくものですし、正しくやれば結果は必ず返ってくるものなので。

筋トレのいいところですよね。一朝一夕ではあれですけど、続けていけば結果が出ますからね。渡邉さんは元々スポーツをされていたんでしょうか。

そうですね。(今の体形だと)あんまり信じてもらえないんですけど、高校を卒業するまでは器械体操をやっていました。もう20年以上前なので、遠い昔の話ですが…(笑)。それこそ床、鉄棒、鞍馬、吊り輪と一通りやっていました。

器械体操だと、当時は相当すごい身体だったんじゃないですか。

今より格段に細かったですね。今はどちらかというと思い重量を扱う筋トレを中心にやっていることで身体が大きくなってしまったので、昔は器械体操をやっていたと言っても信じてもらえないんですよ。器械体操の選手って身長の低い方が多いですが、私は身長もそれなりにありますから。

今はかなりガタイの良い感じですよね。パワーリフティングだとMaxはどれくらいですか。

150㎏は上がるんじゃないかと思います。普段は130㎏でトレーニングしています。

凄い…もう渡邉さん自身がアスリートじゃないですか。

そんなことはないですよ(笑)

元々、器械体操をされていた関係で今のお仕事になった、という感じですかね。

そうですね、体を動かすことが好きなので、体を動かすことを仕事にしたかったというのがきっかけですね。

渡邉さんがいらっしゃる“フクシ・エンタープライズ”さんはそういったフィットネスの講師の方がいるような会社なんでしょうか。

当社はスポーツと文化事業の普及振興を中心に事業を展開していて、当施設のような運動のできる公共施設の維持・管理業務や。トレーニングルームのトレーナー業務、グラウンドの管理もやらせてもらっています。その中で、運動教室の指導なども行っています。そのほかには、美術館や博物館の管理業務なども行っている感じです。

会社にお勤めになったきっかけは?

きっかけは私が高校卒業して、現役を引退してからトレーニングジムを利用するようになったのですが、その時にトレーナーさんにいろいろ教えてもらい、こんな仕事もあるのかと知ったことですね。そこから専門学校に通って、スポーツ関係の仕事をしたいと思っていたところで、今の会社と縁があって入ったという流れです。

なるほどですね。この施設でお仕事をされていて、充実した瞬間はどういったものでしょうか。

自分が担当している体操教室のお客さんから「楽しかった」などの喜びのお声を直接聴けたときにはやりがいを感じますよね。

性質上、お客さんとも近いですよね。

そうですね。この施設にいて思うのは、お客さんが温かいというのもありますね。私はこっちの出身ではなくて埼玉県出身なんですけど、こちらに異動してきて、もう5年になるんですが、当初からお客さんが気兼ねなく声を掛けてくださったり、すごく受け入れてくれているのだと感じられ、とてもありがたかったですね。

この地域ならでは、ですよね。皆さん大らかというか、優しいんですよね。

それはこちらに来てよかったな、と思うところです。私がこちらに来たときはもうコロナが流行し始めた頃で、この施設も3月初旬から1カ月休館になりまして、その間に、センター長が私に入れ替わりました。利用者さんからすると、再開したらいつの間にか施設長が変わっていました、という感じだったかと思います。

コロナの時期は利用者の皆さんはどんな感じでしたか。

年間で利用料を支払っているお客さんは続けて利用してくれていましたが、全体的にはとても少なくなったと思います。コロナの流行り始めた時にスポーツクラブでクラスターが出たこともあって、当時スポーツクラブに対する風当たりってものすごく強かったんですよ。「密な」状態を避けるために再開の見通しが立たない状況の中、高森町は比較的早めに施設の再開を許可してくれたんですね。もちろんそれに対する対策はしなきゃいけなかったし、今でこそないですけど、マスクしながら教室指導をしていました。だから、トレーニングをされる方もマスクは着用義務がありましたし、今はだいぶ緩くなって、スポーツクラブでもマスクをしなくていい所が増えましたけど、当時はマスクを外すのが悪のように思われていましたからね。当社は広い地域でスポーツ施設の管理をしていますが、ここが一番最初に再開したように記憶しています。他の施設は2.3カ月休館が続いたり、教室やスクールはコロナが明けるまで4年間一度も出来なかったところもあると聞きました。
町がこういった教室やスクールに対して理解していただけたことが大きかったですし、コロナになって利用人数も減ったので、利用者さんとしては混まないので伸び伸びできるというのはあったかもしれませんが、それでもマスクは外さないでね、というスタンスではありました。

コロナ対策をしながらだと気を遣いますよね。先ほど、ご出身が埼玉だと伺ったのですが、どういった子供時代を過ごされたのか、聞いてもいいでしょうか。例えば先ほどおっしゃっていた器械体操をされていたころはどうでしたか。

あまりにも昔のことなので、思い出せないこともあるのですが、地元の体操教室に友達が通っていたことが器械体操を始めたきっかけではありますね。中学校は珍しく器械身体操の部活がある学校だったんですよ。というか、中学校の部活の後に開催していた体操教室に小学生時代から通っていました。それで、高校まで器械体操を続けましたね。

珍しいですよね、なかなかないですよ。

危険も多いですし、専門の指導者や顧問のいない学校がほとんどだと思います。専門の器具は高いですから。ただ、そこの先生は元々トランポリンの選手をしていた人で、器械体操の器具が一通りちゃんと揃っていたっていうのが大きかったです。高校だとそれなりにやっているところもありますが、中学校だとなかなか無いですよね。逆に言えば、高校も器械体操ができる学校を選んだ感じです。そこが商業高校だったので、そこから就職という方法もあったんですけど、商業が好きというわけではなかったこともあって、もうワンクッション入れて、運動の専門学校に通いたいと思って専門に行ったという感じですね。

なるほど。専門学校を出られて、最初の職場が今の会社で?

そうです。なので、もう勤続21年ですかね。

長いこと続けてこられて大変だったことはありますか。

入りたての頃は覚えることもたくさんあって大変でしたね。フィットネスの業界って幅が広くて、私はその専門学校ではトレーナーの専攻を選んでいたので、最初はトレーニング施設にいたんですけど、体育館の施設管理に所属した時には卓球とかバトミントンをされるお客さんの相手をするような仕事もありました。球技は得意じゃない中で、お客さんに迷惑を掛けずに相手をするために、いろんな競技の練習もしました。今でも短期教室でエアロビクスのレッスンをやっているんですけど、それを覚えたのも入社してから2年目ぐらいのときだったかな。今でこそ集団教室はお客さんに近いので好きなんですけど、当時はあまり人前に立って、人を引っ張っていくのは得意ではなかったので、そこが最初大変でしたね。

自分が講師になる、というのは難しさがあると思います。

どちらかと言うと、子どもの頃はその他大勢にくっついていくタイプだったので、そんなことをやるとは思ってもみなかったですね。まぁ、さすがに慣れましたが(笑)

お仕事がお休みの時はどうリフレッシュされていますか。

休みの日は大体子供と遊んでいたりするかな。まだ1歳で生まれたばかりなので。あとはそれこそトレーニングしたり、ですかね。

お仕事と生活がつながっているような感じで…

トレーニングをするのは嫌いではないので。やれない方がストレスになりますね。それこそ定期的に家でトレーニングができるようになってくると、身体の調子が良い状態が把握できるようになるので、やっていないとすごく衰えた感じがしますね。実際、いきなり急に衰えたりはしないんですけど、長期間やらないと身体の機能は衰えますからね。それを感じると「トレーニングしなきゃ」と思ったりしますよね。

ありがとうございます。渡邉さんが高森町で気に入っている場所やお店を伺っていければと思います。

肉そばのこまつ家さんですね。

やはり!皆さんよく挙げられているお店です。

私も好きでたまに行きます。あとは「じゃげな(ラーメン店)」さんですね。

あそこは色々メニューがありますけど、お気に入りはありますか。

私は大体油そばかつけ麺を食べますね。ふつうのラーメンよりもそっちが好きですね。あとはこっちに来て柿が好きになりましたね。元々、そんなに柿って好きじゃなかったんですよ。ですけど、やっぱり時期になると市田柿とか勧められたり、いただくことがありますので、そういう時に美味しいと気付きましたね。高森町は果物が美味しいですよね。

こちらに来て気付いた良さですね。

果物は栄養価も高いし、良いのはわかっていたんですけど、昔はそんなに食べなかったんですよ。こちらは普通の柿も甘くて美味しいですね。

こちらは農作物が生活の身近にあるような感じですよね。渡邉さんが思うこの町の「住み良いな」と思うところはどんなところでしょう。例えば、山の景色が綺麗とか。

そうですね、景色がそもそも違いますよね。

僕もこちらへ来ると、山が壁みたいに連なっているのを見て凄いな、と思います。

ずっと山ですもんね。

東京からこちらへ来ると、匂いが全然違いますね。草木の匂いが混じっているように感じます。

そうですね、何よりも車が少ないですね。埼玉にいた頃って車を30分走らせて行ける距離ってせいぜい10~15㎞くらいですけど、こっちだったらその倍は多分走れますから、それぐらい道が空いていますよね。信号も少ないし、渋滞にハマる経験がこちらでは本当にないですね。私も都内で働いていた頃は、府中市で仕事をしていましたが、渋滞にハマると100m行くのに30分とかね、「いい加減にしてくれ」と思うこともありましたね。こちらだと車で行くときの時間が読めるのはすごくいいなと思いますね(笑)

府中というと、中央道かな。あそこは混むんですよね。高速バスで来る時もよく渋滞しています。

本社が都内ということもあり、関東圏には現場がたくさんあるんですよ。

先ほど埼玉県出身とおっしゃっていましたが、どの辺りですか。

川越の辺りですね。

僕も実家が近いので、その地名はよく知っています(笑)

ありがとうございます。今の会社にも20年、こちらでも5年過ごされて、今後のお仕事でもいいですし、渡邉さんご自身のでもいいですし、何か目標がございましたら聞かせてください。

もっとこの施設を知ってもらいたいなと思いますね。意外と高森町の方でも、この施設を知らない方が結構たくさん居まして、話をすると「えー!知らなかった」ということもあったりしますね。施設としてはけっこう長くやっているんですけどね。なので、運動習慣のない方にもぜひ来てほしい、というのがあります。あと、私が高森町さんから依頼を受けて、いろんなところに出張して指導に行かせていただくこともあるんですが、町民の方と接する機会が増えるといいなと思っていますね。

この取材の内容が『高森人図鑑』になりますので、我々もちょっとでもお力になれたらと思います。今のお話の延長になるかもしれないんですけど、この地域の方への宣伝やPR、メッセージがあれば。

健康のために身体を動かす機会を少しでも作りましょうっていうことはお伝えしたいところですね。PRとしては、施設としても民間のスポーツクラブよりも安価で利用できるので、ぜひ「あさぎり」を活用してください、というところですかね。あとは、わからないことがあればトレーナーがおりますので、気軽に声をかけてください。

いきなり来ても色々教えていただけるということですね。僕もこういう施設が近くに欲しいです。本日はお忙しい中、ありがとうございました!

【後記】
紙面上では割愛しましたが、この後、トレーニング器具を使う様子の撮影や可動床のプールの説明など、丁寧にご対応いただきました。かつて器械体操で鍛えた身体で幼児からお年寄りまで指導されている渡邉さんは高森町の頼れる「体操のお兄さん」と言ってもいいかもしれません。スポーツ関係のお仕事に就きたい、ということから現在に至るまで一つの会社で勤め上げていることからも真っ直ぐな人柄が感じられ、印象深かったです。優しい朗らかな雰囲気ながら150㎏のバーベルを上げるのはトレーニング好きだからこそ為せる技です。皆さん、「あさぎり」をどうぞよろしくお願いいたします!

(了)

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写真:Noémie
文:Hattori
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※本記事は2024年4月15日時点の内容を掲載しております