セレクトワークウェアショップ「WAVE」代表 山﨑 那美

セレクトワークウェアショップ「WAVE」代表  山﨑 那美

山﨑那美

YAMAZAKI NAMI セレクトワークウェアショップ「WAVE」代表
Interview

自分のストロングポイントは「行動力」と語る山﨑さん。
コロナ禍の影響で水商売の世界を離れ、当時のお客さんの誘いで肉体労働の現場に入ったという変わった経歴の持ち主。そんな経験から、現場の人達にカッコよく、スタイリッシュで居てほしい、という思いで始められた作業服専門店「WAVE」にお邪魔しました。
前職で培ったというコミュニケーション能力も健在で、こちらも実に楽しくお話を聞くことができました。

TAKAMORIJIN File No.027

山﨑那美

YAMAZAKI NAMI

セレクトワークウェアショップ「WAVE」代表

行動力

カエル

明日北海道に行けと言われたら、段取りつけて行けます!と言い切るほど行動力がある。キャバクラ時代に培った接客方法で、人当たりはとてもいい方だけど、筋の通った考えの持ち主。一方で昔は可愛いものが好きだけど、恥ずかしくて言えなかったという女の子らしさも持ち合わせている。ギャップ萌えです。

「こまつ家」の肉そば

セレクトワークウェアショップ「WAVE」代表  山﨑 那美

出演されたテレビ番組(『激レアさんを連れてきた』22年8月8日放映)を拝見しました。非常に面白くて、すごく興味深い経歴でした。

ありがとうございます!

元々のご出身が駒ケ根市の方なのでしょうか?

いえ、違います。下條村です。あの峰隆太さんの出身地です(笑)
小学生まで下條村に住んで、それから飯田市、高森町に引っ越してきました。

そうだったんですね。番組では掘り下げられていませんでしたが、前職のキャバクラで務めるようになったのは、どういった経緯だったのでしょう?

元々、高校生の時に自衛隊を目指したんですよ。

そうなんですか!

それで、自衛隊に応募したんですけど、面接で落ちちゃったんですよ。それで、女の子らしいことに憧れがあったので、ドレスを着たり、キラキラしたイメージがあったので、キャバクラに行ってみようと思ったんです。

なるほど、そういった経緯だったんですね。

勤め始めた当初は全然お話が出来なかったんですよ。おじさんとお話することの何が面白いんだっていう感じで(笑)

最初はそうですよね(笑)

でも、やっぱり今まで手にしたことがない金額のお給料をもらえるわけじゃないですか。
高校生の時って土日に生懸命頑張っても、せいぜい月に4,5万くらいですけど、それが日給でポンと数万貰えるんで、「ヤバい、何に使おうかな」って思いましたね。

それで、高校はアルバイトが禁止の学校だったんですけど、自分の携帯料金とか、自分で使うものは自分で払いなさいとしつけられていたので、謹慎を食らったり(笑)しながら、続けていましたね。

そうでしたか(笑)とは言え、キャバクラといった水商売はコロナ禍の打撃を一番受けた業種ですよね。

そうですね。お客さんにもご家族がいるので、無理な営業も出来ないし、私も子供が居たので、オムツやミルク代も必要で。だからヤバいな、どうしようと思っていましたね。

そんな時にお客さんの一人だった「親方」から連絡があったということで。

「荷物運びの仕事あるけど、手伝うかい?」と連絡を貰いまして、「やったことないんですけど、いいんですか?」という感じで(笑)でも、すごいありがたかったです。チャンスだ!と思いました。

ホントに良いご縁がありましたねぇ。

ホントですよ。間違いないです。

それで、いきなり肉体労働のおっちゃん達と共同生活をされて。

ホントにいきなりでしたよ。でも、面白かったです。
番組でも紹介された「UNO事件」ですけど、あれホントは私も参加していたんですよ。
ゲームしていて、私が「Draw four(カードを4枚引かされるカード)」を出したら、「一生恨みます」って言ってきて(笑)

それをきっかけにそれまで溜まっていた鬱憤をぶちまけたという(笑)
それにしても、お一人でこれだけの規模のお店を切り盛りされるってかなり大変そうですね。

最近はアルバイトのスタッフを入れています。面接して、入れてっていうのを繰り返してますね。私はホントに社会を知らなかったので。「社会保険って何?」っていうところから始まったんですよ。

ああいうのは複雑で手間がかかるんですよね。

ホントですよ。以外とするんだなぁと思ったりして。まだ、株式会社ではなくて、個人事業主でやっているので、経理も自分でやって、となると「キッツい、これ!」って思います(笑)
今年から税理士さんにも入ってもらうようにしまして、知らなかった部分を教えてもらいながらやっていますね。

その方がお仕事に専念できるかと思います。

ありがたいですよね。

番組とかでお仕事のきっかけは皆さん見てくださったかと思うので、山﨑さんがどんな少女時代を過ごしたか、とかその辺を聞いていきたいと思います。

私は可愛いものが凄く好きだったんですけど、それが恥ずかしくて言えないような女の子でした。ホントは「プリキュア」が好きだけど、なんだか恥ずかしくて言えないっていう(笑)

(笑)女子同士で遊んだりしましたか?

あまり女の子同士で遊ぶというのはなかったですね。姉と兄がいるんですが、兄の歳が近かったこともあって、兄と遊ぶことが多かったんです。ほとんど外に出て遊んでいましたね。それこそ下條村は山とか公園とか外で遊ぶ場所が沢山あったので、自然の中で遊んでいました。
自転車も姉、兄と乗ってきたお下がりで、錆びてボロボロになって、ハンドルなんかベタベタしたのに乗ってましたよ(笑)

兄妹あるあるですね(笑)

あと、子供の頃にニンテンドーDSを買ってもらって「ポケモン」をやっていたんですけど、兄が勝手に私の気に入っていたポケモンを交換したりしてしまって…それからポケモンが少し嫌いになりました(笑)

(笑)ご兄弟とは年の差はどれくらいですか?

姉、兄と2つずつ離れています。兄弟仲はいいですよ。集まると姉とじゃれ合ったりしています(笑)

いいですねぇ。

私、ずっと黄色が好きなんですけど、それこそポケモンでも黄色のポケモンや
「ふたりはプリキュア」でも黄色の髪の子が好きだったり…これインタビューに関係してるかな(笑)

(笑)いいんです。今日はそういうところを聞いてみたかったので。10代の青春時代ってどんな感じでした?

嫌なことは全部逃げてました。嫌なことは立ち向かわないっていう。でも、言う時は言ってました。気に入らない教師に「やめちまえ」とか言ったりして。けっこう嫌な生徒だったかも(笑)
感情的な10代でしたね。気に入らない時はすぐ言うし、嫌なことはすぐ逃げるっていう。最悪ですよ(笑)

いやいや。僕も似たような経験がありますから。その後、高校を卒業されて。

はい。何度も謹慎を食らってましたけどね(笑)今だから笑って話せますけどね。

謹慎っていうのは、どういう理由で?答えられる範囲でいいのですが。

当時は母子家庭だったのですが、学校では禁止になっていたアルバイトをどうしてもしないといけなかったんですよね。それで謹慎になってましたね。

そういう事情だったんですね。(店内を見渡して)けっこう色んな刺繍のTシャツやら作業服がありますよね。

お世話になっている方の口癖をそのまま刺繍したり(笑)あとは、お客さんの社名やロゴも入れたりできますよ。

(これがお世話になった方の口癖だそうです)

この刺繍は独学で覚えたんですか?

これは独学です。ホントに行動力だけはあったので、色んなお店を観に行って、怪しまれないようにしれっと「どういう機械を入れてるかな」と覗いてみたり、色々とやってましたね(笑)ホントにめちゃめちゃお店に行きましたよ、それこそ千葉まで遠征しましたね。今、刺繍のサンプルを作るので、ご覧になりますか?

ぜひお願いします!(刺繍のサンプルを作っていただきながらお話を聞きます)

電動のミシンなんですけど、刺繍する枠が強めのマグネットになっているので、指や爪を挟むと大変なんです。私、爪半分やっちゃったことがあって、でも爪のおかげで指まで至らなかった感じです(笑)

(緻密な刺繍が出来上がっていきます)うわーすごいですね!
作業しながらで結構ですので、お仕事の話を伺っていきますね。肉体労働の現場でお仕事をされて、親方に出会ったわけですが、親方の作業服姿がスタイリッシュでカッコよかったとのことでしたね。

そうなんですよ。めちゃめちゃカッコよかったんです。もうデニム履いたりしていて「何それ!私も欲しい」って思って、親方が通う作業服屋に連れて行ってもらったんです。それで「買ってやるよ」って言われたんですけど、サイズが全然無かったんですね。「何で無いの。超ウザイ」と思って(笑)
ただ、お店を始めて気が付いたんですけど、まず業界に女性が少ないんですよ、ホントに一握りしか居なくて。そりゃ置かないわな、って。

山﨑さんのような方がお店に立っていると女性でも入りやすいんじゃないですか。

よくおばちゃんが来てくれます(笑)旦那さんがバイク乗りだから、その後ろに乗る時に作業着が欲しい、とかそういった理由で来てくれますね。そういう使い方もあるんだ、って(笑)
それでも、来てくれて、他のお店には(合うものが)無いから来たって言ってくれるとありがたいですよね。他には子供服の刺繍なんかもやったりしますよ。

刺繍、縫い物って昔は学校の家庭科の時間でやりましたけど、今はどうなんでしょうね。

でも、私は家庭科の成績「2」でしたよ(笑)刺繍とか出来て凄いね、って言われるんですけど、それは機械を入れて、お金が掛かっているからです(笑)

なるほど(笑)そういえば、お店の事業計画書もご自身で作られたんですよね。

そうです、計画書はiPhoneで作りました。わからないところもiPhoneで調べて書きましたね。

それは凄い!僕は計画書の類(たぐい)は、頼まれてもちょっと嫌ですね(笑)大変なのがある程度わかっているので…。

逆にそういうことがわからないからこそ出来たって感じです。こういう手順で作らなきゃいけないとか、そういったことを知らなかったから出来たのかもしれませんね。いまだにiPhoneのメモ帳に「あれやろう」とか書いたアイデアが残ってますよ。

あと、(テレビでも紹介された、現場のおっちゃん達にぶちまけたという)29項目ってあったじゃないですか。あれ、ホントはもっと沢山項目があったんですよ。

まだ他にもあったんですね(笑)それで仕事がしやすくなるのも凄いですよね。プロフィール的な部分を聞いていきますね。自分の強みはどういった部分でしょうか。

それは行動力です(キッパリ)。私、明日北海道に行け、って言われたら全部段取り付けて行きますよ。
あとは、適応能力があると思います。昔、カンボジアにボランティアで行ったんです。
普通は食事とかが合わなくて、皆痩せて帰ってくるんですけど、私は7㎏太って帰ってきました(笑)

食べ物が合っていたんでしょうか(笑)

いや、食べないと持たないな、と思って(笑)ちゃんと食事を摂るようにしてました。
それで7㎏増えても、「カンボジアでは体重の単位が日本と違うから」って言っていたら「いや、一緒だよ」ってツッコまれたり(笑)

(笑)経歴を拝見して、苦労とかされたんでしょうけど、すごく「渡りに船」というか、いいきっかけがあればすぐ行動する人柄が表れてますよね。

嫌なことがあっても、全部ネタにしちゃいますね(笑)
みんなに話をして、それでもう大丈夫って感じで。

苦手なもの(弱点)はなんですか?

とにかくカエルがダメです(笑)特にこの時期はよく窓やら玄関のドアに貼り付いているので、怖くて家に入れずに車で子供と寝たこともあります(笑)最近は追い払うくらいはできるんですけど。

昔、靴の上にカエルが乗ってきたことがあって、大騒ぎしちゃったことがあります。
それも住んでいるアパートの前で、夜の9時くらいに(笑)

「何だ、何だ」って住民が出てきちゃって「警察呼びますか!?」みたいな騒ぎになっちゃって。

確かに、夜に女性が叫んでたら事件かと思いますよね(笑)

でも、最近は見慣れたこともあって、少しは可愛いな、と思えるようになりました(笑)

なるほど。自分はこういう人間です、というような特徴、チャームポイントはありますか?

ええと、特にコンプレックスも浮かばないですし…でも、自分のことは好きです。生まれ変わっても自分でいたいと思いますね。
名前だって、おばあちゃんや両親が決めてくれたので気に入っています。結婚した時に相手は長男だったんですけど、名前を変えたくなかったので、婿に入ってもらったんです(笑)

ナイスエピソードです。高森町でおすすめしたいものはありますか?

肉そばの「こまつ家」さんですね。めっちゃ行きますよ、美味しいんです。でも、初めてだとラー油がけっこう効いているんで、一口目で絶対むせると思います(笑)
お客さんとか県外から来てくれた方は絶対連れて行きますね。

僕もそのうちに行きます。お店について、今後の目標はありますか?

やっぱり何店舗か出したいという思いはあります。あとは売上1億円を目指したいと思いますね。店舗販売だけじゃなくて、ネットショップと合わせていければと思っています。
そうなると、従業員も新しく入れる必要があるんですが、最初から出来る人が入ってくるわけではないので、一緒に成長しながらやっていける人が来てくれたらと思います。

追い越せ、ワークマンじゃないですけど、そういった目標があると。

ホント、そんな感じです(笑)でも、有名になりたいとずっと思っていました。有名になると知名度も上がるし、今はインフルエンサーも凄く活躍されているじゃないですか。そうやって、有名になれば、これまで私を助けてくれた人達に恩返しができると思っています。
私が発信することで、私をフォローしてくれる方に色々と知っていただきたいなと思っています。

HPの更新もご自身でされるんですか?

そうです。最近は更新が滞っているんですけど(笑)
お店が終わったら、子供を迎えにいかなきゃいけないし、習い事にも通わせているので、どうしても止まっちゃうんです。一人でお店をしている時は、入り口に張り紙を貼って子供を迎えに行ってました(笑)逆に自分一人だからできることではあるんですけど。

高森町でやっていきたいことは何かありますか?

みんながもっと起業して、自由に生きられる環境になればいいな、ということを発信したいです。同級生の中でも一番早く(22歳で)起業したので、すごく相談されるんです。それがすごく嬉しいです。
あとはイベントもやりたいです。高森町でも、もっと若い子たちが「こういうふうにしたらいいんじゃないか」って活躍できるようにしたいんですよ。

飯田の焼肉ロックフェスなんか若者が集まっていますよね。

そうです、そうです。そういう感じです!

地域の方でも、地域外に向けてでもいいので、何かメッセージがあれば。

このお店の場所を貸してくれた方もそうですし、ホントに感謝しかないです。
高森町のアントレプレナーを通して融資してもらったんですけど、支援がなければそもそも起業できていなかったと思います。なので、ホントに感謝しています。起業した当初は、できるだけ新聞とか媒体に出て、高森町をPRしたいって思ってやっていましたね。

ホントに襟を正される話です。
お忙しい中、お話いただきましてありがとうございました!

【後記】
記事内に異様に(笑)が多いのはエピソードがどれも面白かったということで、ご容赦ください。
お伺いしたお店は綺麗で、外には子供さんが遊べるスペースもあり、駐車場もしっかりとあります。
作業着専門店ですが、そうは見えないお洒落な服が沢山ありますので、業界の方以外でも是非訪ねてみてください。

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写真:Noémie
文:Hattori
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※本記事は2023年9月6日時点の内容を掲載しております